月とタイヤの表面は平らじゃない

車椅子のタイヤ表面を拡大してみる

車椅子のタイヤは通常の自動車のタイヤと違って黒くないことが多いです。車椅子は室内でも使用する為、カーボンの黒い色で床を汚さない様にですが、ブラックマークがつかないからといって外を走ってきた車椅子のタイヤが表面がきれいかというと、そうでもありません。

 

ちょっと古くなった車椅子のタイヤを拡大して観察しました。

遠目では、ツルっとして見えていてもグっと寄って拡大してみると、こんなにぶつぶつと穴が開いていたりします。

 

 

表面にもたくさんシワがあり、至るところに汚れを吸着するポケットの存在が確認できます。

 

 

こうしたタイヤの表面のデコボコやシワには濡れた路面で水を吐き出し、スリップするのを防ぐために効果的なものでもありますが、同時に弾力もあるために水分やさまざまな汚れも溜め込んでしまいがちです。

このままで室内に入れば、水分も汚れも室内に持ち込むことになり部屋の中にばら撒く結果にもなってしまいます。

 

 

部屋の中は裸足で歩くので、外と一緒にはしたくないですよね。そこで、玄関先で「手であが~る」を使って、水分をふき取ったり、タイヤ表面のお掃除をしてあげてください。

ハンドルへのこだわり

モニター機からの正常進化

 

 

 

初期の量産試作機の本体形状は上の写真のようなものでした。

当事は、コロにはベアリングがそのまま使われ、ハンドルも中実の丸棒を曲げて輪にした形で溶接していました。

しかし、ベアリングは使用環境や経年によっては錆びてしまうこと、表面が硬い上、幅が狭く大きな面圧によって床面を傷つけることがあり、ナイロンローラーへと変更されました。

またハンドルの太さも細いと手に食い込んで痛いとの意見が寄せられたことや真下に下げるよりも前方に押し出しながら下げる「手であが~る」の操作の特性にマッチした形状が求められた結果、溶接ではなく柄のパイプを曲げて製作してはどうか?ということになりました。

 

 

こうして登場した第2次の試作機が、このタイプです。柄が太くなった部分にはゴムキャップもかぶせてみました。

握りが太くなり、さらにゴムキャップをかぶせたことで、つるつる滑らず手にフィットし、操作性は著しく向上しましたが、この段階では若干、角度に違和感がありました。

 

 

人間工学的に言うと本来の手の握りに対して、少しばかり角度が立ちすぎていたのです。

その理由には工作上からの制約もありましたが、これをなんとかこのくらいにしてほしいんだけど・・・と現場に無理を言ってお願いしたのがこちらです。

 

 

がんばって曲げていただいたおかげで思い描いていた理想に近いものになりました。

 

 

どうでしょうか?上下で、わずかな違いに見えるかも知れませんが、重ねてみると一目瞭然です。今の「手であが~る」がごく自然にヒョイっと片手で簡単に持ち上がるのは、こうした設計のフィードバックと工作現場の努力とによる細かな改修の積み重ねがあるのです。

 

 

こうして改良された商品版は初期のものよりも部品点数は少なく、軽く、よりシンプルになっていました。

機能のために生まれた白いローラーや黒いゴムのグリップも外観的なアクセントになり「手であが~る」を印象付ける要素となっています。

今後もまだまだ改良すべき点はありますが、個人利用の特定の車椅子に対してはひとつの理想ではないかと思っています。

 

手であが~るヒストリア

BEST of 試作品

先日、福祉まつりで展示のために、ダンボールの中にしまってあった過去の試作品を出してみました。懐かしいお宝からはここ数年の歴史が蘇りました。

 

 

何にでも失敗の歴史はつきものでしょうけれど、テコという太古からある単純な原理を使う「手であが~る」にも、試行錯誤がありました。気づくと販売する商品までには、さまざまなバージョンができてしまいました。テーブルの上に置かれたのもほんの一例です。

 

 

この頃の車輪にはすごい小さい径のベアリングを使ったものがあったんだなあ・・・高ナットをダブルで使ってたんだなあ・・・と、自分でもすでに忘れてしまっている事もあるのに驚いてしまいます。

でも、いろいろと作ったなかで、一番、印象に残っているのはどれですか?と聞かれたら、お騒がせ女優のように「別に~」と答える気はありません。

僕は迷わず下の”凶器”と呼ばれた2号機だと答えるでしょう。そんなこと誰からも問われたことはありませんけどね(笑)

 

 

しかし、これが記憶に残っているのは、初の成功作だったからではありません。実のところ、すべての思い違いが結集した大失敗作だったからです。

2号機は、こんな感じに・・・と、絵を描いて工場に溶接をお願いし、そのとおりに出来てきました。なのに自ら頼んでおきながらゴメンナサイという代物でした。

まず、重い!グラグラする!安定して持ち上がらない!低い車椅子を持ち上げたら大きく傾いてひっくりかえる!

そこに追い討ちをかけるように周囲からは「足の上に落としたら怪我する」、「これでアタマ殴られたら死ぬ」・・・散々な評価でした。

でもこれで後頭部を殴られるように、見落としていた多くのことに気づかせてくれたのも、この凶器と呼ばれた2号機だったのです。

・ジャッキは兵器にあらず。丈夫で壊れなければ良いというわけではない!

・一番、高い車椅子のパイプの高さに合わせるような安易な設計ではNO!

・支点と作用点の関係を考え、ジャッキアップ時の運動の軌跡を見直せ!

おそらく、この大失敗作の経験がなければ、我々は現在の実用機に至っていなかったでしょう。

「凶器の2号機」それ自体はけして使える代物ではありませんでしたが、偉大なご先祖様として、また初心忘れず、今後も発展を続けるため、技術遺産として保存しておこうと思っています。

 

関連資料 : 手であが~るの指針と開発秘話

 

 

 

 

 

スグレモノ発見

車いすというよりも電動チェアの気軽さ

 

 

先日の石垣市福祉まつりの会場でこんなものを見つけた。

介助者を伴わずに自走しているのに普通の車いすのように大きな車輪もハンドリムもない。どうなっているのかと思ったよく見たら、これで電動車いすなのだ。

いまさらだが、車いすというのは大きな車輪がないとガラッとイメージの変るものだということに気付かされた。

ちょっと上等なパイプ椅子がオシャレに自走している感じなのだ。

 

 

飛行機でいえばエアバス風、ジョイスチックのコントローラもコンパクトでシンプル、椅子の下部にもモノモノしい大きなバッテリーのような箱もメカも見当たらない。

見た目、ちょっとした肘掛付きの椅子といった佇まいで、障がい者の乗り物といった雰囲気がほとんどないのだ。

でも、どうやって電動化されているのだろう。

 

 

その秘密の動力部はたったこれだけのスペースに収まっている。10インチの左右車輪のハブにつけられたモーターとそれをつなぐ黒いボックスの部分がバッテリーケースになっている。

4時間のフル充電で13km走れるという。速度は切り替え可能で最大6km/hまでで屋内はもちろんのこと、外に出て歩道を走ることができる。重量は21.6kg。

そして、収納時はたためるのがいい。

 

 

折りたたみの手順はロックになっている後ろのワイヤー引き、バギータイプの車いすのように前後にパタンと二つ折りにたたむだけ。5秒あればできる。

折りたたむと上記のように非常にコンパクトになる。

 

 

あとは、玄関のちょっとしたスペースなどに立てかけておけば邪魔にもならず、オプションで縦位置で固定する専用スタンドもあるという。

今回、ちょっと試乗させていただいたが、前進、後進、旋回とジョイスティックで操作はとても簡単。ものぐさな健常者も社内で乗り回したりしそうなクールさがいい。

椅子部分と動力部、制御部が美しく切り分けられている点、車いすというイメージがなく自分で転がってくれる折り畳み椅子的な気軽さがデザインとして秀逸だと感じた。近年、著しいバッテリーやモーターの性能向上は電動車いすの概念も変えようとしている。

 

詳しくはこちらのサイトを  RASREL

福祉まつり展示レビュー

第30回石垣市健康福祉まつり&第39回障がい者週間・市民のつどいにてライフジグは毎度おなじみ「手であが~る」の展示を行いました。

  当日は天候にも恵まれ、外のテントにも、ライフジグのブースにも

たくさんのお客さんが来てくれました

 

車椅子に乗れるからか、なぜか子どもたちに人気の手であが~る

あっという間に身に付けてしまった鮮やかなジャッキアップ操作を見込んで

お客さん来たときだけデモのアシスタントを依頼することに

歴代「手であが~る」の展示には、棚作り用のイレクターを流用した初号機から

凶器といわれた超重量級の2号機まで展示しましたが

その中でもっとも人気があったのは高さ調整用アダプターを取り付けたハンド・ドリルでした

どうやら、子どもたちの目からは電動工具は触っていい動くおもちゃに映っていたようです

おかげさまで、スタンプラリー目当てでやってきた子どもたちを介して保護者の方々に毎回

手であが~るを宣伝することができました

手伝ってくれた子どもたち、またサクラになってくれたお友達に感謝です

みんな車椅子の車輪そうじには「手であが~る」は覚えてくれたのかなあ

お菓子もらったら忘れちゃったかもなあ

ハンドメイド「首あが~る」

「手であが~る」のU字受け部分がクルクル回転させなくても”ろくろ首”みたいに自由に伸びたり、縮んだりできたらいいのになあ。と、日々、いろんなアイデアを考えていたら親父の誕生日のプレゼントに息子がこんなものを作ってくれた。

 

 

ハンドルを引くと、ウサギさんのピンクの耳と化したU字受け部分が飛び上がるという、いささかビックリ箱じみたギミックだった。キャー!かわいい!!

ちょっと怪しげだが確かにうまく動く。中はどうなっているのか聞いても教えてはくれなかったが、どうやらDIYなどで売っているバネなどは使わず、そこらへんにあった輪ゴムが使われているらしい。

 

 

このアイデアを実物の「手であが~る」に応用できるかどうかは別として、一瞬の笑いをとるのに十分な愛嬌があることだけは間違いない。

老化で固くなった親父の頭に、遊び心は大事だよと教えてくれたのかもしれない。

空飛ぶ車いす計画

航空自衛隊の計画に日本社会福祉弘済会の「空飛ぶ車いす」事業への支援という記事があり、先を越されてしまったと思いました。LIFEJIGにおいても空飛ぶ車いす計画というのが長期目標としてあったからです。

 

 

しかし、今回の「空飛ぶ車いす」事業の真相は、空飛ぶ車いすをつくる計画ではなかった。多用途支援機運航要員の国外任務遂行能力の向上を図るのが目的で、U-4多用途支援機の国外運航訓練を10月9日から12日の間、実施することが決まり、このミクロネシア連邦、パラオ共和国への輸送力に余力があるため、日本で古くなった車いすを分解、整備、再生して必要としているアジアの国々に飛行機を使って送る活動をしている、この事業が採択されたそうです。まだ使えると思うことが多いので良い活動だと思います。

もともと日本との友好関係の深いパラオ共和国ですが、この事業で更にパイプが太くなるのに貢献できたら素敵ですね。

ちなみにU-4のベースは米国のガルフストリームⅣというジェットビジネス機ですが、日本の航空自衛隊では多様途機Utilityの頭文字を冠してU-4と呼ばれます。その発音から、よくUFOと間違えられます(笑)

 

写真は航空自衛隊のサイトより

 

将来は、車いすは障がい者用という概念は変わるだろうと思っています。

歩行が困難だから使うという用途だけではなく障害の有無とは無関係に、この車椅子を使うことによって高速で走れ、水上も走行でき、海に潜り、そして空も飛べる。姿勢保持バケットシートにアタッチメントを付け替えることで機能を付加し、様々なフィールドに対応することのできる車いすができないものか。そんな車いすを夢想しています。

 

 

座ったままでどこでも行けるモバイルシートって感じでしょうか。

 

 

 

 

負の遺産@石垣島

いまなお続く不発弾処理

それが徳川の埋蔵金であれば、掘り当てて、ありがたがることもできるが、沖縄県ではよく工事に際してありがたくない過去の遺産が出土する。

その名前は不発弾。石垣島には地上戦はなく、沖縄や座間味だけかと思われているが実は陸海軍の空港もあり戦争中に爆撃されていて、あちこちから見つかる。
いまも新空港アクセスでは、今後の工事に際して安全を確保すべく不発弾の調査が行わている。

 

そして発見された不発弾は、起爆装置の信管をはずす安全化が自衛隊の手により行われ処理される。

今回も大浜・真栄里地区で発見された不発弾の安全化処理作業が二日間にわたり実施された。

 

場所は旧空港の北側になる。この周辺も飛行場があったので爆撃の対象になっていると思われ、以前は旧空港のエプロンの下から発見され、処理されたこともある。

 

軍事ターゲットになる空港周辺に限らず、石垣市街地の中で、万年工事中とも言われるタウンパル山田の近くの工事現場で発見されたこともあり、戦後75年を過ぎた今でも地中に静かに眠る不発弾は驚異となっている。

台風13号レビュー

特にクリスチャンではないが、台風13号というと過去に何度も痛い目にあっており、八重山にとっては嫌なイメージだ。今回も、その台風13号が先島を狙っていた。

 

数日前にが、石垣島直撃だった予想進路は突然、石垣島を迂回するかのように東に進路を変える。

不思議にも石垣島ではなく宮古島直撃コースに入っていった。

 

 

直撃コースから可航半円に入ったことで、宮古島に対しては申し訳ないけれど、石垣島や西表島は非常に強い台風ではあるものの、かなりその影響は小さくなると期待された。

 

実際に通ったコースが上図だ。

洋上で石垣島を避けるかのように迂回し宮古島を直撃している。それまで石垣島中心だった台風報道もこの転進により取材班の関心は宮古島に移り、島を直撃したことで、冠水や、横転したクルマの映像が次々と宮古島から全国ニュースで流されていた。

 

台風の目に入る直撃コースと可航半円では、どのくらいの影響に違いがあるのかアメダスの風向、風速、気圧のデータで確認して見ると興味深い

石垣島では風向変化でみると最接近は風が北北東から北になり北北西に変わる午前8時から10時ごろで10m/s前後なのに対して、宮古島では東北東から西南西に間逆に風向が変わる14時ごろに一旦、風速が2.9m/sになっており目の中を通過したことを示している、またこの前後で風速が大きくなり12時ごろに最大風速35.1m/sを記録している。ちなみに最大瞬間風速では空港付近で61.2m/sが観測された。

 

また雨の量でも台風の通ったコースでかなり異なり、石垣島では最大でも時間当たり3.5mm程度なのに対して宮古島では11時から13時までに降った降水量が100mmに近くなるなど、同じ台風の影響でもコースによって風と雨の影響が大きく異なることを示している。

この運命の分かれ道だが、各国の自慢のスーパーコンピュータを持ってしても、なかなか事前に正確な予測をすることが難しい上、コースを変えることも、消すことも人類には難しい。

台風銀座とも言われ台風の通り道である先島では、この人知ではどうにもならない自然現象によって、昔から、自分たちの運命を左右されてきた。

誰のせいでもなく向こうからやってくる状況を受け入れ、経験をもって備え、被害を受けては黙々と復旧させてきた長い離島の歴史は、「だからよ」「しかたがないさあ」「なんくるない」と、そのおおらかで前向きな性格の源なのかも知れないと思う。

すると異常気象で台風がしょっちゅうやって来るようになると全国的にも性格は変わるのかな。。。

13号もまだあるのに、もうすでに15号も発生しています。沖縄の専売特許ではなくなった台風襲来。

内地の皆さまも十分お気をつけください。

 

 

 

 

車いすと社会と「手であが~る」

この度の参議院選挙で、れいわ新撰組から出馬した車いすの候補者2名のが当選を果たし、新しく参議院に車いすの国会議員が誕生した。

これに伴い、国会の会議場においてもバリアフリー化への改修工事が行われている。日常の足として車いすを利用されている方々にとって、彼らが何を主張するかということ以前にも、こうしたメディアで注目されること自体が、普段気づいてもらえない健常者とのハンディキャップについて考えてもらうチャンスになることで歓迎すべきことだと思う。ただ、国会のようにシンボリックでアピールになる場合を除いて、入場を望む場所、全てをバリアフリー化するということは場所の確保にしても費用の問題にしてもそう簡単なことではない。

慰め程度ではあるけれど、車椅子を理由に既存の建物に入ることさえ断られていたような場所では、「手であが~る」で楽に持ち上げて汚れをふき取っていただけることで、僅かでも車いすに対する敷居を低くできたら、利用する側にも受け入れる側にもプラス要因となれば、ちょっと嬉しい。

そして「タイヤを拭いていただけますか?」と以前よりも少し気軽に言えて、ちょっと思い切って外出してみようかな・・・そう思える心のバリアフリーに役立てたらもうちょっと嬉しいです。