空飛ぶクルマの流行り廃り

車いすならぬクルマが飛んだ

LIFE JIGの空飛ぶ車いす計画について以前、触れましたけれど、今回、話題にするのは空飛ぶクルマです。

な~んだ、知ってる、それドローンに人を乗せたような電動マルチコプターのことでしょ?と思われた方は時代の潮流に乗っているトレンディな方です。

今回、お話したいのは下の写真を見てもらうとわかるように実際にクルマが飛んでいるタイプのものです。

 

 

翼も尾翼もあって飛行機的な要素は備えているのですが、胴体はそのまんまクルマです。

これはこの空飛ぶクルマが地上に置いてある姿を見てもらうと明らかです。

 

 

翼を収納して地上走行をする形態では、ほぼほぼスーパーカーです。この状態だと尾翼はダウンフォースを得るレーシングマシンのリアウィングそのものです。もしかすると車輪に駆動系統はなくプロペラ推進なのかも知れません。さすがにそれは怖いですかね。

 

 

主翼は50%コードで半分に折れ曲がる構造のようです。収納は翼弦を半分に折りたたんだ後、上方へ90度はねあげ、更に後方に倒して胴体内に埋め込まれます。テールブームも二重構造のスライド式で飛行を終えた後は胴体内に引き込まれ全長を短縮します。最後にガルウィングのドアを閉めると空飛ぶクルマは地上を走るクルマに早代わりです。

 

 

これは、もうほとんどトランスフォーマー的パフォーマンスですね。従来であれば、映画007シリーズの新兵器として登場してもおかしくはない代物ですが、これがジェームス・ボンドのイギリスではなく、スロバキアで開発された車であると聞くと、なぜこれが今、開発されているのだか見当がつきませんが開発するクラインビジョン(Klein Vision)は個人によるレジャー、自動運転などに加え、タクシーでも利用できるとアピールしているそうです。

スペックも、あまり詳しいことはわかりませんがエンジンはBMWの1.6リッターだそうですから出力は180馬力くらいでしょうか、機体重量は1100kgといいますから、この重くなりそうなメカニズムを収容しての重量としては優秀というべきではないでしょうか。

 

 

上から見ると胴体がクルマだということがよくわかります。飛行機では幅の広いサイドバイサイド。イメージ的には胴体もある程度主翼の一部として揚力を負担している形になっているのでしょう。

構造は複雑になりますが、空力については今までのクルマに翼をつける空飛ぶクルマのなかでは悪くない感じですかね。

 

 

 

 

ただし、これが一般に広く普及するかというとそれはなさそうですね。

それは空を飛ぶということと、地上を走るということに要求される特性が大きく異なっているということが要因ではないかと思います。

長距離は効率の良い飛行機で、飛行場にレンタカーを置いておき地上の近場はクルマで、これが現実の移動においてはリーズナブルってことに昔からなっているようです。

ただ、この秘密兵器的な楽しさやトランスフォーマー的なビジュアルな魅力はあるので、今後も様々な新種が現れるであろうことは想像に難くありません。

LIFE JIGの考える空飛ぶ車いすも車いすに主翼・尾翼をつけたようなものではありません。車いすからそのまま効率の良い航空機に乗り込めるタイプのものです。

現在の航空機はオートパイロットやフライバイワイヤが一般的であり操縦するのに足は必要ありません。ジョイスティックだけでも動かせますから電動車いすの延長です。

かくして空飛ぶクルマは多分に余興的なもので終わるかも知れませんが、空飛ぶ車いすは車いす利用者の行動半径を飛躍的に拡大するのに役立つでしょう。