ハンドルへのこだわり

モニター機からの正常進化

 

 

 

初期の量産試作機の本体形状は上の写真のようなものでした。

当事は、コロにはベアリングがそのまま使われ、ハンドルも中実の丸棒を曲げて輪にした形で溶接していました。

しかし、ベアリングは使用環境や経年によっては錆びてしまうこと、表面が硬い上、幅が狭く大きな面圧によって床面を傷つけることがあり、ナイロンローラーへと変更されました。

またハンドルの太さも細いと手に食い込んで痛いとの意見が寄せられたことや真下に下げるよりも前方に押し出しながら下げる「手であが~る」の操作の特性にマッチした形状が求められた結果、溶接ではなく柄のパイプを曲げて製作してはどうか?ということになりました。

 

 

こうして登場した第2次の試作機が、このタイプです。柄が太くなった部分にはゴムキャップもかぶせてみました。

握りが太くなり、さらにゴムキャップをかぶせたことで、つるつる滑らず手にフィットし、操作性は著しく向上しましたが、この段階では若干、角度に違和感がありました。

 

 

人間工学的に言うと本来の手の握りに対して、少しばかり角度が立ちすぎていたのです。

その理由には工作上からの制約もありましたが、これをなんとかこのくらいにしてほしいんだけど・・・と現場に無理を言ってお願いしたのがこちらです。

 

 

がんばって曲げていただいたおかげで思い描いていた理想に近いものになりました。

 

 

どうでしょうか?上下で、わずかな違いに見えるかも知れませんが、重ねてみると一目瞭然です。今の「手であが~る」がごく自然にヒョイっと片手で簡単に持ち上がるのは、こうした設計のフィードバックと工作現場の努力とによる細かな改修の積み重ねがあるのです。

 

 

こうして改良された商品版は初期のものよりも部品点数は少なく、軽く、よりシンプルになっていました。

機能のために生まれた白いローラーや黒いゴムのグリップも外観的なアクセントになり「手であが~る」を印象付ける要素となっています。

今後もまだまだ改良すべき点はありますが、個人利用の特定の車椅子に対してはひとつの理想ではないかと思っています。