利用者の方やモニターしていただいている方々からのお便りを拝見するのが楽しみな昨今ですが、車いすの車輪掃除がすごく楽になって助かっていますというような嬉しい内容に混ざって「手であが~る」で車いすをジャッキアップしたら「手であが~る」ごと傾いてしまった。そんな事象が報告されることがあります。
たとえば、試しに自社で現象を再現してみると下の写真のようになります。ちょっと極端ですが。
内側のローラーが床から浮いて傾いてしまっているのがわかるかと思います。この現象はローラーが正常に転がっていないときに発生します。この原因はハンドルを押し込まずに単に下向きに押し下げただけの場合、ローラーが床面に固定されてジャッキアップしている車いす全体を前後に移動させてしまうことにあります。図にしてみると下図のようになります。
「手であが~る」で楽にしかも美しくジャッキアップするのには、ほんのちょっとですがコツがあります。こう書くと難しいことみたいに思ってしまいますが、上図の下の感じでジャッキを少し前に押すようにジャッキアップしていただければ問題なく挙がります。
これは通常、平滑で硬い床面であれば意識しなくても自然にやっていることなのですが、毛足の長い絨毯の上ですとか、荷重でへこんでしまう畳の上ですとか、傾斜面などでは、ローラーが機能せず転がって移動しにくいため車いす全体を振り回してしまい、この左右に首を振る運動が外向きの力を発生させ「手であが~る」を傾けてしまうのです。
同様な現象が起きた際には、まずジャッキアップの際にローラーが前方に転がっているかをご確認いただければと思います。
またローラーが転がれない理由として
・床の素材が柔らかく沈みこんでしまう
・ジャッキアップする場所が平滑でなかったり傾いている
・ローラーに何か噛んでいる
・ハンドルを押し込まずに単に下方に下げている
・ローラーが固着、または変形している
などが考えられますので、一度チェックしてみてください。
以上、時々、事例報告のあります「手であが~るが傾いてしまう事象」への原因と対処方法になります。このほかにも困ったことなどありましたら、ご連絡ください。